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溺愛執事の恋愛事情

第2章 Lady GO or Stay?


「で、お嬢様」
「………勝手に人を拉致ったわりに、清々しいまでの笑顔ね、ハイセ」


腕組みしながらそっぽむいて怒る姿さえも美しい彼女は現在、ご機嫌斜めである。

「ご自分で今朝宣言したのですよ?やると」
「今日からなんてゆってない」
「いつから屁理屈なんて覚えてしまったのでしょう」
「どこかの性悪変態執事にでも教えてもらったのかしらね」
「………ずいぶんご機嫌斜めですね。特別なご予定でも?」
「特別なご予定でも!あったわよ!今日は放課後予定あったの!」
「おかしいですね。存じ上げませんが」
「今日決まったんだもの、当然じゃない」

「そうですか。では、これからはご予定は1週間前に教えてください」

うん、解決、と目を伏せて頷けば。

「バカじゃないの?パパやママじゃあるまいし、どこぞのお偉いさんよ」
「旦那様や奥さまは週単位どころか月単位年単位で予定埋まっておりますよ」
「ハイセ」
「はい」
「最近すごく、生意気じゃない?」

「………」


『生意気』の単語に。
思わず両目はパチパチと何度か瞬きを繰り返す。
よもや12歳も下の高校生に、生意気呼ばわりされる日がこようとは。
まぁでも。
彼女はおそれ多くもお嬢様、なわけだし。
身分はたぶん、上だ。


「お嬢様ほどではないですが」


一瞬驚きに見開いた両目は、すぐににっこりと細められ、ご機嫌斜めに膨れたままの彼女へと向けた。


「ハイセ」
「ええ」
「ひとつ確認なんだけど」
「はい」
「あたしはたぶん、西園寺家の一人娘、あなたは執事だったわよね?」
「そのように記憶しております」

「………なら、いいわ」



彼女の口からため息が盛大に吐き出されたのと同時に。
車は西園寺家へと到着したようだ。
旦那様も奥様も、午後一番の飛行機でまた海外へと出掛けたのは、先ほど見送ったばかり。

なら、邪魔者はいないのだ。
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