第9章 ふたりの境界線
「では遠慮なく」、とか。
余裕たっぷりに飄々とその瞳が弧を描く。
捻挫した足首に唇を寄せて啄み、音を響かせながら唇は移動していって。
下着ごしに、ハイセの唇が秘部へと触れた。
「………っ」
ビクリと腰を引けば。
足の間に入り込んだハイセの顔が、あたしを捕らえ。
合わせたままの視線を外さずに。
そのまま下着ごしにその場所へと舌を這わせたんだ。
「ちょ……っと、やだ……っ」
目、反らせない。
恥ずかしい、のに。
こんなの絶対恥ずかしくて死にそうなのに。
なぜだかハイセから目が反らせない。
それに。
下着ごしに触れるハイセの舌、が。
熱くて。
………物足りなく、て。
勝手に体が熱を持つ。
「いかが致しました?」
ビクン
「ぇ」
「物足りなそうな顔、してますね」
「………っ」
濡れた唇を手の甲で拭って。
ペロリと唇をひと舐め、して。
「これ、邪魔ですね」
「ぇ」
唇と歯を使って。
下着をずらしていく。
そのままあたしと視線を合わせると。
意地悪にその瞳は細められた。
「…………っ」
わかる、気がした。
ハイセの、言いたいこと。
わかる、けど。
ふい、と。
ハイセから視線を外しても。
ハイセはそのまま動くことは、なくて。
先ほどまでに受けていた刺激を求めて体は疼くばっかりで。
「………ハイセの、ばか……っ」
羞恥に震えながら、ハイセの唇でずらされた下着を自分の右手で、ずらす。
「お利口、ですね」
ふ、と微笑むと。
ハイセはそのまま突起へと吸い付いた。
「━━━っ、んっぁああ…っ」
一気に駆け上がる目まぐるしいほどの快感。
ハイセに慣らされた体は、ハイセの思うように反応する。
あたしの体を、たぶんあたしよりも熟知してる。
どうされればあたしが悦ぶのか。
気持ちいいのか、誰よりもわかってるんだ。