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溺愛執事の恋愛事情

第9章 ふたりの境界線


「なんでいんのよ」
「だから、学校の許可は取って……」
「じゃ、なくて!!」
「?」

本気で首傾げてんじゃないわよ。
バカなの?
ついでに座り込んでくれなくてもいいし。


「学校の中まで、なんで入ってくるの?」


「ああ、姫月様よりご連絡頂きまして」
「はぁ?」

にこりと笑みをこぼしながら目の前の視界に入ってきた携帯画面。

『皇ちゃんが灰になっちゃいます!!助けて』


「………」



駄目だ。
なんで姫がハイセと繋がってるのか、とか。
この短時間で学校の許可を取り目の前に現れた理由、とか。
いろいろ突っ込み要素はお腹いっぱいなくらいに満載なのに。
言葉が、出てこない。
だいたい姫、文面おかしくない?
この悪戯まがいの文面で良く学校まで乗り込めたよねこの人。
ある意味、尊敬。



「避難訓練のことは、存じていましたから」
「知ってたの?」
「行事は全て把握済みです」

今日の避難訓練、あたし知らなかったのに。


「で、いつまでこんなところで灰になるおつもりですか」

………あたしが灰になるならハイセだって同じじゃない。
とか浮かんだ言葉たちを、飲み込む。
いちいちまためんどくさい。



「………怪我、ですか」


ギク


たった一瞬だろうと、変わった顔色を見逃す執事じゃない。
優秀すぎて嫌になるわ、ほんと。


「挫いたみたいですね、歩けますか」
「………」
「申し訳ありません。歩けていたらこんなところで灰になってなどいませんね」
「いちいち灰、灰うるさいわね」
「……ほんとの火事なら煙に巻かれて窒息ですよ」
「避難訓練だし」
「何か考え事ですか」

相変わらず、人の話聞かないわねこの人。
切り替え早いのよいつも。


「お嬢様?」


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