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溺愛執事の恋愛事情

第9章 ふたりの境界線


「なんでハイセが出てくんのよ」


「え?」
「え」


あれ、なんか変なこと言った?


「和泉様が、助けてくださったのでは?」
「はぁ?」
「皇ちゃん?」


毎度毎度、憎たらしいけど。
助けてもらうような場面に出くわしたことなんかないわ。

「なに?」
「いえ……なんでもありません」
「?」



喉にものが詰まったみたい。
すっきりしない。
なんだろう。
姫の煮え切らない言葉と態度も、だけど。
頭の中、モヤがかかったみたいにすっきりしない。


「皇ちゃん?」
「……なんでもないわ」




なんだっけ。
なんだがほんと、すっきりしない。


怪訝にため息付くあたしにおろおろしながらも、姫は足早に後ろを着いてきてくれた。














「………ハイセ」
「はい」


いつものように。
寸分の狂いもなく迎えの車が到着して。
当たり前のように後部座席のドアが開かれ、当たり前のように乗り込んだあたしの隣には。
これまた当たり前のようにハイセが座った。


「結局あなた、昨日何のようだったの?」

「……はい?」



姫のパーティーの最中、ハイセに呼び出された記憶まではある。
だけどハイセがなんで呼び出したのか、すっかり忘れた。
どこをどう通り家にたどり着いたのか。
パーティーはなんであたし、途中で抜けたのか、すっぽりと抜け落ちたみたいに穴があいてる。
一日中考えて考えて。
結局すっきりしないのはこれなんだと思いあたったんだ。


「呼び出したでしょう?あたしを」


執事のくせに。
あたしを呼び出すなんて不躾にも程があるわ。
なんて思ってはいてもついつい呼び出しに応じちゃうあたしも悪いのだけど。

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