第8章 溺愛執事の事情
ふ、と。
一瞬ののちに変わった表情。
空気。
そしてそれらを感じる暇もなく。
「━━━っひぅ…っ、ぁ、っああ……っ」
限界まで開かされた両膝に羞恥心を持つ前に、ハイセはぐ、っと奥まで一気にそれを捩じ込んだんだ。
「それ……っ、やだぁっ」
そしてそれは、あたしよりも良く知ったあたしの『弱い場所』。
何度も何度も肌を重ねたハイセには、もうずっと前から知られちゃってる。
「ハイセ……っ、やだ…っ、それやぁ━━━ッッ」
突かれれば、おかしくなっちゃうことも。
強すぎる刺激に、クラクラチカチカしちゃうことも。
「『いい』の、間違いじゃなくて?」
逃げるように腰を浮かせれば。
ハイセをもっともっと奥まで、たどり着かせる結果となり。
「………はぁ……っ、ああッッ!!」
火照った身体はすぐにでも登り詰め、全身を震わせ悦び求める。
「そんなに締めたら、もたない」
余裕そうにあたしを見下ろして、ペロリと熱い舌は涙を舐めとっていくのだ。
余裕?
違う。
熱い。
ハイセの身体も、舌も。
未だ解かれていないその繋がりも、中でビクビクと震えてるのが良くわかる。
荒い、息使いも。
額に浮かぶ汗、も。
あたしを見下ろすその瞳も。
全部が言ってる。
余裕なんか、ない。
「………ハイセ」
「?」
そっと手を伸ばして、額へと贈った口付け。
「気持ちいい?ハイセ」
「え」
「気持ちいい?」
ハイセもちゃんと、気持ちいい?
感じてる?
あたしだけじゃなくて、ハイセもあたしが欲しい、って、思ってくれてる?
あたしを、感じてくれてる?
ねぇハイセ。
教えて。