第8章 溺愛執事の事情
「━━━━━っっ」
プツン、て。
頭の中で音がした。
根こそぎ全部奪われたのは、俺の、方。
気付けば。
歯でかわいらしく甘い匂いのするその袋を食い破り、正直どう着けたか覚えてない。
とにかく気付けば。
とろとろに蕩けたその場所へと、そのまま一気に根元まで突き貫いていた。
「━━━━っぁ、は……っ」
「━━っ、痛くは、ありませんか」
「……へい、き」
「怖くはありませんか」
「こわく、ない」
「そうですか。━━━━では」
『動いてもよろしいですか』
そう、発音がきちんと出来たかはわからない。
確認する術も、聞き届けられたのかも保証がないから。
「………っ、中から、キスでもされてる気分」
吸い付き、やば。
ぎゅー、って、抱き締められてるかと錯覚するくらいに。
「辛くない?皇」
「……へい、き」
所謂体の相性なるものがあるのなら。
それはもちろん初めて皇を抱いたあの日から悪くはなくて。
むしろジャストフィットするかのように良すぎて。
いつもいつも、包まれている感が半端なく気持ち良くて。
気持ち、良くて。
だけどそれは回数を増すごとに、日を追うごとに濃度が増していく。
日を追うごとに馴染んできた彼女の中は、それはもう、極上の快楽とも言えるべきものとなってくるのだ。
「……ハイセ?」
動く度に絡み付く肉壁。
搾り取るように、うねり吸い付く蜜道。
「………ごめん皇、ちょっと、余裕ない……っ」
「え」
「まだ怖いなら、言って。今ならまだ、耐えられる。」
たぶんきっと、1度でも奥へ捩じ込んだら、止まらない。
止まらなくなる。
上書き、するなんてカッコいいこと言ったくせに。
俺が。
この子を壊してしまう。
「……へいき」
なのにこの子は。
俺の精一杯の虚勢さえも、粉々に打ち砕くのだ。
「好きにしていい」
両方の頬へと伸ばされた柔らかな掌。
「言ったでしょう?あたしもハイセが欲しい」
「━━━━━ッッ」
崩れる。
全てが粉々に、砕け散る。
「ごめん」
もう、限界。
「壊したら、ごめん」