第8章 溺愛執事の事情
『気持ちいい?』
不意打ちともとれる額への口付け。
それにこの表情。
最近まで、まだまだ16歳の子供だったのに。
なんにも知らない、ただの子供だったのに。
いつの間にこんな顔、するようになった?
まだまだ16歳の、あどけなさの残るその顔と声はなんら変わりなどないのに。
あどけなさの中に見せるのは、すでに色香を纏う女のそれで。
気を抜けばすぐにでも射精(だ)しそうに、なる。
「ハイセ」
ここまで彼女を『女』にしたのが自分だと、認識しただけで。
それだけで。
「━━━━━っくない、わけ、あんのか?これ」
「ん……っ!?んん、んんぅ、━━━━ッッぅ」
体重をかけ、両腕で皇の頭を掻き抱き、そのまま唇を奪う。
奥の奥めがけて抜き差しを激しくすれば、ぐぐもった声のままにまた、果てて。
抱きつくように吸い付いてくるなかへ捩じ込むように何度も何度も、欲をぶつけた。
その度に訪れる射精感を必死でやり過ごし、身震いする己自身に耐えながら。
何度も何度も彼女を駆けあがらせる。
「はいせ、はいせぇ」
俺を呼ぶ、甘ったるい皇の声に。
涙に。
表情に。
色濃く残る、残り香に。
すべてに、興奮する。
「━━━━━━っ、ぅ」
「も、っああ……っっ、ぁ、ぁ、ッッぁあああっっ!!」
一際大きく弓なりに跳ねると同時に。
締め付ける射精感に耐え切れず欲の塊を爆ぜた、瞬間。
彼女の体はピタリと動きを止め、真っ白なシーツへとその身を投げ出した。
「…………」
荒くなかなか整わない呼吸をそのままに、俺も彼女の右隣へとその身を乱暴に投げ出す。
そのまま、甘い香りに誘われるように怠い瞳を閉じていった。