第7章 お嬢様の涙
は……っ。
ぁ。
はぁ……っ。
あ、たし、今。
今!?
「………気持ち良かった?」
「………っ」
ハイセ。
ハイセ。
━━━━━ハイセっっ
「ねぇ、2錠で人格崩壊するなら3錠飲んだらどーなると思う?」
「━━━!?」
なに、言ってんの、この人。
恐怖で全身がカタカタと震える。
嫌なのに。
勝手に涙が溢れてくる。
勝手に。
また、体が熱を、帯びてくる。
「ほら早く、壊れちゃいなよ」
怖い。
こんなに人を怖いと思ったのは、初めてだ。
こんなに恐怖を感じたのも。
こんなに、絶望を感じたのも。
………絶望?
違う。
ハイセ。
ハイセ、なら。
ハイセなら絶対。
「………っ」
唇をさらに噛み締めると、口の中に広がる鉄の味。
それでもこの感覚を打ち消したくて、ギリギリと唇を噛み締めた。
「……残念。そーゆー気強い女好みなんだけど」
また、頬を掴まれて上を向かされれば。
自然と開く唇。
「口に含むと俺にも強すぎるからさ、このまま飲んでくれない?」
やだ。
嫌。
ハイセ。
━━━━ハイセっっ
「そんなに『いい』なら、自分で飲めよ」