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溺愛執事の恋愛事情

第7章 お嬢様の涙


怪訝に顔を歪め口から唾液ごと吐き出すと、煩わしそうに男は口元を拭って。
こちらへと、細めた瞳を愉快そうに笑って、向けた。



「………っ、ぅ」




やだ。
やだやだやだやだ。
気持ち悪い。
吐きそう。
ゾワゾワする。
中で無遠慮に動き回るハイセとは違う、指先に。
絶望的なこの状況に。
全身の血液が急降下していく。


「………ぁ、ぁ……っ、や…!?」


なのに。
こんなに、気持ち悪い、のに。
吐きそうなくらいに頭は全身で彼を拒む、のに。



「ほら、気持ちいいでしょ?逆らわない方がいいよ。楽になりな」



先ほどから蜜を溢れ溢すその場所へと埋め込まれた指先は本数を増やし。
激しさを増していく。
比例するように、奏でる水音は卑猥さを増し、さらには潤いを帯びたそこは、容易に奥へ奥へと指先を突き貫いていくのだ。



「や、ぁ……っ!?やめ……っ、いや、や、だ…ぁっ」


やだ。
気持ち悪い。
頭と体が、ぐちゃぐちゃ。
バラバラになるみたい。
気持ち良くなんか、ない。
ない、のに。

「ふ、ぅ……っ」


「まだ逆らうの?……もう1錠、飲んどこうか」
「!!」
「ならイきなよ。……ほら」


嫌。
やだ。
頭ではこんなに嫌なのに。
体が勝手に熱を持つ。
体が勝手に、この感覚を追いかけようと。
上り詰めようと。
貪り始める。
それが無性に。


━━━━━気持ち悪い。



のに。




「……ふ、ぅ、ぁ、っぁぁっ、ぃ、っん、あああっっ」



置いてきぼりをくらったあたしの思いとは裏腹に、勝手に仰け反る体。
満足そうに笑う男の突き刺すような視線を感じながら。
あたしはそのまま喉元を無防備に晒した、んだ。
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