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溺愛執事の恋愛事情

第1章 神様ヘルプ!


「お嬢様?」


そのまま止まったように固まった時間は、決して見惚れていたわけでは、ないわ。
………たぶん。


呼び声にハッとしながらも上体を起こせば。
ハイセも同じように再度ベッドを軋ませながら横に腰掛けた。




「……………昨日、何してた?」
「昨日、ですか?」
「うん」

なんとなく居たたまれなくて、もぞもぞと向きを90度、変えてみる。
必然的に、あたしの背中はハイセの背中にくっついた。
わざとらしく後ろ手に両手をベッドへと付くと、ハイセはそのまま天を仰いで。

「覚えてませんね」

飄々と言ってのけるこの態度は、絶対、思い出してるんだ。

「……じゃ、いい」




『昨日和泉様、お綺麗な女性とデートしてましたわよ』




絶対見違えだって、思ったのに。
違うって信じてたのに。
これじゃ。
こんなハイセの態度じゃ肯定しか意味してない。
だいたい。
せめて否定くらいしなさいよ。
だんだん、イライラしてきた。
あたしなんのためにこんなことまで。


「奥様ですよ」
「……は?」
「昨日の午後なら、奥様に頼まれて買い物に同行しておりました」
「ママ?」
「ええ」

「ぇ?」


ええ?
綺麗な女性、って、ママ?
いやいやいや。
年違いすぎでしょ、それ。


「奥様、お若いですからね。喜びますよきっと」
「………」

く、く、く、と。
肩を震わせて嬉しそうに笑うハイセは。
心底楽しそうだ。


「それが原因ですか?これ?嫉妬、ですか?」


恥ずかしいの通り越して、イライラしてきた。


「もーいい!シャワー浴びて部屋戻る!」

反対側から足を床へと投げ出せば。
両足が床にくっつく数ミリ手前で。
あたしの両足は宙に浮いた。

「……っ!?」

後ろから、腰の辺りをハイセに抱き寄せられたんだ。


「そんなかわいい嫉妬されて、部屋に返すはずないでしょう?」
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