第2章 【9】願いと流星群 後編
シートベルトをしたまま天の腕の中に納まりに行くと、とてもいい香りが私を包んだ
その香りはとても心地よく、甘いけど落ち着いた香りがする
なかなか開放してくれない天のせいでだんだん眠くなってくる
「眠い?」
ひとつあくびをこらえきれずに出すとすかさず訊かれた
正直あまりもたない
「すこ、し……」
「着いたら起こしてあげるから寝ていいよ」
「…ありがとう……」
寝てもいいという言葉に眠気のリミッターが振りきれたようで、眠気に逆らえず受け入れた
本当は天に寝て欲しかった
きっと連日の仕事で疲れているはずだから
でも、もう、まぶたを持ち上げる事さえできない
少しでも隣で寝てくれたらいいなと思いながら眠りに落ちた
「おやすみ」
初めて天に包まれたというのにすごく安心している
私の頭を撫でる天の優しい手と鼓動が深い眠りに誘った