第2章 【9】願いと流星群 後編
「そろそろ帰ろうか……送るよ」
「お言葉に甘えます」
最後の一つの星が流れてからしばらくして天が切り出した
名残惜しいけど明日も仕事があるから帰らなくてはいけない……そんなところだろう
実際私も名残惜しいし、まだ帰りたくない
でも天のためにも帰らなくてはいけない
悟られないように二つ返事で返事をした
「基本的に敬語なんて要らないから、楽にしゃべっていいよ。 ボクの_____」
「その単語、言わないで……」
「何で?」
「だって……とんでもなく恥ずかしいっていうか…照れる、から」
「彼女」という単語はまだ聞きなれないせいか、とんでもなく照れるのだ
その旨を聞いた天は口角をあげた
「えぇ…可愛いのに?」
「かわっ?!……可愛いのは天だけでいいの」
「そう。じゃあ考えておくね」
違う単語にしてもらったらしてもらったで、かなりヒットポイントを削られそうだ
さっさと「彼女」に慣れるしかないのか、でも馴れるまで何度顔を染めるのか、抑々なれることなんてできるのだろうかと考えて百面相していると、天が言葉をつけ足した
「あと、ボクは男だからね?可愛いのはキミだよ」
「~~~~~!」
今のは絶対に確信犯だ
私がTRIGGERの天を推していること利用してアイドルの九条天のキメ顔をお見舞いされた
確信犯はくすくす笑って手を差し出した
「ほら」
今度は、卒業式の日とは違って迷わずに、天の彼女として、差し出されたその手をとった