第2章 【9】願いと流星群 後編
「藍希ちゃん、うちの事務所に来ない?」
「事務所って…八乙女プロですか?!」
「そうよ」
「一応アニメーター志望なので、事務はちょっと……」
そんなにプロの世界では通じない絵を描いているのか?
でも、さっきはすごいと、綺麗と言ってくれた
何を意図しているのかさっぱりわからない
「事務なんかじゃないわ!アニメーターとしてよ!」
「へ? アニメーターとして?!」
「文化人としてうちに所属してほしいのよ!」
「文化人? 私なんかが________」
「“私なんか”じゃないわよ藍希ちゃん。 アナタはすごい才能を秘めているわ…もちろん強要はしないし、フリー志望なら一旦は引くけど……他の所に獲られるぐらいなら……!」
一旦という言葉にすごく引っかかってます、姉鷺さん……
すごい勢いに天も楽も空地を挟めないようなのでおもむろに自ら口を開いた
「あの、姉鷺さん。 この返事は今すぐじゃないとだめですか?」
「いいえ、そんなことはないわ。 自分の将来なんだからしっかり時間をかけて決めてちょうだい」
「じゃあ、今私が思っていることだけでも伝えさせてください」