第2章 【9】願いと流星群 後編
おやつは一旦ここまでと切り替えテーブルにPCを広げた
起動したところでちょうどスマホの通知音が鳴った
【今カフェにいたりする?】
……天から?!
あたりをきょろきょろと見回してみてもトレードマークのぴょこりと1束の毛束が立ったその姿はどこにも見当たらない
「ボクはここだよ」
トレーを持った天がこそっと耳にささやいた
驚いて振り返ると、トレードマークの毛束はキャップの中、それにボストン型のメガネをかけて変装している
「そこ、いいかな?」
向かいの席を指しているのを見て私は気づいた
「あっ!ごめんなさい!気付かなくて……!」
向かいの席にカバンを置いているのに気づかなかった私は急いでどかして座るよう促した
天は変装しているにもかかわらず、眩しい笑顔でありがとうと言われた
「無理にどかせちゃってごめんね。藍希ちゃんと向かい合って座りたかったからさ」
そういうと自身のトレーに乗ったカプチーノに口をつけ、続けて口を開く
「_____久しぶりだね。あまり連絡できなくてごめんね」
「いえ、気にしないでください。忙しそうですもん、最近。毎日テレビで見るくらいに。あ、でも私も忙しかったので…お互いさま、ですね?」
「お互いさま……そうだね。お互いさま、そうしておこうか」
「はい。そういえば、よく私を見つけられましたね」
「窓際にいたからすぐにわかったよ」
「あ。そうですね」
当たり前のことに気付かず恥ずかしさのあまり頬を指で掻き、それとなく話を変えることにした
「最近お忙しそうですけど、お仕事はどんなかんじですか?」
「今は、新しいドラマの撮影…かな」
「なんていうドラマなんですか?」
「まだ内容とか詳しく言えないけど……そうだな。藍希ちゃんが大好きな先生の最新刊」
「私が大好きな先生?の作品________って『白いパズル』ですかっ?!」
「ふふっ。大正解」
『白いパズル』とは大好きな推理小説家の最新刊で世に出たすべての作品のドラマ化はもちろん、社会現象を巻き起こすほど大ヒットする