第1章 【9】願いと流星群 前編
ここで天は自分の腕を凝視し、おもむろに口を開いた
「楽、龍、もう時間だよ」
「えっ、もう?」
私も龍之介と同感である
既に一時間近く経過しているなんて思いもよらなかった
こんなにも時間が早く過ぎ去ったのはそれこそ、某ネズミのテーマパークでもない
もうTRIGGERとお別れなのかと思って感傷に浸っていると天が不意に声をかけたのだ
「藍希の好きな曲は?」
「願いはSHINE ON THE SEA……」
「楽、龍、いくよ!」
何がはじまるのだろう?
いや、その答えはわかっている。
ただ、私の一存で決めてもいいのだろうか?
天は私の手を引いて特等席、ステージ目の前の席へ導いた
去り際に一言残して
「ボク達、いや、ボクから目を離さないで」