怖いのは苦手です【ONE PIECE】ドフラミンゴ夢
第2章 Who are you?
「お前がどこから来たにせよ簡単に帰れねぇのは間違いなさそうだなァ」
笑い声とともに聞こえた言葉に、ビクリと肩が揺れた。
腹の底が冷える。
頭のすぐ後ろから聞こえた声に、身体をねじりながら ゆっくりと恐る恐る見上げた男の顔は本心が見えない笑みを浮かべていた。
後ろから抱き寄せる様に腹に回された腕はあたたかい。
だが、この男の気分次第で、例えば今すぐこの窓から放り出されて死ぬ未来もある。
仮に助かったとして、文字もわからぬこの土地で右も左も分からない、身分も証明できないには生き抜く術など思い浮かばなかった。
可もなく不可もなく、これまで平和な日本で大した不自由もなく過ごしてきた。それが多くの人にとっての当たり前だったのだから、疑問も沸かなかった。
しかし、それがどれだけ恵まれたことであったのか。
人は失ってみて初めて気付くのだろう。
ゴクリ、覚悟を決めるように生唾を飲み込む。
現状、目の前のこの男が これからのにとっての生き抜く鍵になるだろう。
判断材料などほとんど無い今、彼に対してどう振る舞うべきか。
全ては博打だ。
けれど、こうして身を案じて支えてくれた力強い腕を信じてみたいと思った。
まずは今は衣食住の確保、そして情報が欲しい。
どう切り出すか、困ったように見つめると再び彼の笑い声が響いた。
「フッフッフッ……何だ? 言いたいことがあるならハッキリ言いやがれ」
面白そうに遊ぶ気満々といった彼。
の考えなどお見通し、なのかもしれない。
「あ、あの、じゃあまず………貴方のお名前は?」
「ア? あぁ、そうか」
その瞬間。
ドンッ! と激しい音がしたかと思うと建物が激しく揺れる。