第4章 ○貴方は特別な存在＊中原中也

暫く見つめ合った後、フッと口元を緩めた中也が迫ってくる。
この瞬間はいつまで経っても慣れないが、拒否する理由もないので、甘んじて受け入れる。


鼻と鼻が擦れ合って、次に唇が触れ合う。
初めは啄むように繰り返されていたキスも、段々舌を絡め合うものに変わっていった。

口に収まりきらなかった唾液が顎を伝う。
息が苦しくなって、中也の胸を控えめに叩くとゆっくりと離される唇。





「手前…、そりゃなんて面だ…。」

「だって、中也が激しくするから…。」

「そうだったな。…なぁ、いいか？」



返事をする前にもう一度唇を落とされる。
舌でペロリと唇を舐められた後、お尻の下に腕を回され一気に抱えられる。
突然の浮遊感に驚きながらも、咄嗟に肩に手を添える。
この抱え方が中也らしいというか…、こういう時は普通姫抱きにするものじゃないのかな。

なんて我儘な事を考えているとあっという間に寝台へと倒される。
服を下から捲り上げられると、何も身に付けていない乳房が姿を現わす。





「おい手前、ちょっと無防備過ぎやしねェか？」

「だって、中也しか居ないし…。」

「その考えが無防備って言ってんだよ。」



なんやかんや言いながら中也も興奮してきているのだろうか。顔に少し赤みを帯びている。