第1章 ○ 猫遊戯*太宰治
「ふんふん、ふーん♪」
ゆるりと鼻唄を歌いながら、探偵社に姿を現わす太宰さん。
何やら荷物を持っているようだけど…。
「おかえりなさい、太宰さん!」
「やぁ!一花!丁度良い処に来たね!」
私が出迎えに行くと、待ってましたとばかりに私の腕を掴み探偵社の扉へと向かう。
「あ、あの、太宰さん、何処へ?」
「私の家だよ。君にプレゼントがあってね。」
「は、はぁ…。」
出口へと向かう途中、谷崎君と目が逢う。
「(ファイト!)」
ガッツポーズをしながら、そう口をパクパクさせる谷崎君。
何が、ファイトなんだろう?
「一花、余計な事考えてないで早く行くよ。」
「は、はい!」
私は太宰さんに腕を引かれるまま探偵社を後にした。