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リンゴ

第4章 今吉翔一






今吉side




ワシが休日に誘えんかったあの日
言うてた通りさやは
午後練には来いひんかった。


なんでいきなりこんのや

あんなにバスケ好きの自分が
バスケより大事なもんって一体なんやねん



いつもよりイラついていたと思う。

顔には出さんようにしとったつもりやけど



「あの、今吉さん!?
当たり強いってか痛いっ」


「黄色背番号4番 チャージング!
フリースローワンスロー!」



練習試合の反省点を元にしたミニゲームで
若松に強く当たりすぎたらしい。

若松は普段と違うワシに気付いたんか
様子を伺うようにしとったわ。


こんなんじゃあかん

キャプテンの俺がただの後輩1人に
こんなに乱されてどうすんねや。

…とりあえず明日朝練で聞いたろ。



そう思っていた。


でもさやは朝練にも顔を出さなかった。


「(昨日午後練は、まあよしや
ワシにきちんと一言伝えとったしな

でも今回は連絡もなしや…!
一体何を考えとるんやさやは…!)」



さやに怒鳴りつけて
無理矢理でも朝練来さしたろと思い

スマホのロック画面を開く。


そこで気づいた。



ワシ、さやの連絡先も知らんやんけ



「ッチ…!」


「ビクッ」



丁度隣におった若松が肩を震わせた。




「(何がなんでも問い詰めてやらな
腹の虫が収まらんわ…!)」







そして朝の校門前のくだりに戻る。


今はさやの住んでるらしいアパートに向かって
引き摺りながら向かっているとこや



「ちょ、翔一さん
まじで俺の部屋来るつもりですか?」


「当たり前や。
体育館じゃ逃げられるに決まっとるし
屋上じゃ青峰いるからゆっくり話も出来へん。」


「青峰?……ああ、」



またか とさやが小さく呟いた。


またってなんやねん
青峰とさやはまだ会ったことないはずやろ

1年の顔見せの時は
二軍体育館行っとっておらへんかったし

練習試合だって青峰は顔も出さんかった。






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