第10章 笠松幸男
笠松はもう一度キスをすると
ハーフパンツの隙間から手を差し込み
太ももに手を置き滑らせた。
ズボンの裾が捲れ
湯上りだからなのか薄らとピンク色に染まった肌が
笠松の視界に飛び込んでくる
太ももの内側に手を添えて
指先でそっとなぞる様に這わせると
さやはビクビクっと体を震わせながら
甘い声を漏らす
「んぁっ…はぁ…んんっ…ぁっ…」
「(だめだって…付き合ってもねぇのに。
いくら特別な女だって言っても…
こんな形で襲ったりしたら嫌われんだろうが…)」
そうは思っていても
すべすべの肌を触る手が、首筋を舐める舌が
止められない
パンパンに熱をもってしまった自身が理性を邪魔する
「ああっ…んっ…んはぁ…」
「っ…やめろって言えよ…
そしたら、すぐやめっから…」
「かさ、まつさんっ…はぁっ…
してもいいですよ…笠松さんなら私っ…んっ」
そんな事言われたら止まれるもんも
止まれなくなるだろが…
するするとTシャツの下から手を滑り込ませる
程よく筋肉のついたお腹を触り
上へ上へ手を伸ばしていくと硬い物に触れた
(こ、これ…ブ、ブラジャー…!?)
その先へ進んでもいいのか
進みたい気持ちがある、でも
さやの顔を見ると
潤んだ目でじっと笠松から与えられる刺激を享受していた
「……ダメだ。」
「…笠松さん?」
ピタリと手を止めた笠松を
不思議に思いながら見上げる
笠松はさやの隣に横になり天井を仰いだ
「今手出したら後悔する気がする」
笠松は自分に言い聞かせるように呟いた
必死に我慢する笠松にさやは戸惑った
こんな事今までなかった
私がいいと言って触らない人なんていなくて
さやは服を直しながら
笠松の方へ体を向け、天井を仰ぐ笠松を見つめた
「…どうして後悔するんですか?
私が涼太達の彼女だから?」
「違ぇよ。
あんな腰抜けにさやを渡す気はさらさらねぇ
ただ俺の中の問題だ」
「……そうですか
笠松さんになら触れられてもいいと思ったのに
残念です」