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偽物女優【恋プロ長編◆裏】

第3章 救出 *


「驚いたな、あの薬を呑んでも声が出せるなんて」

二人の男に手首を押さえつけられ、さらに服を引き裂かれる。

あらわになった胸元を、男の舌が、唇が這いまわる。


蛭に吸いつかれているようなおぞましさのなか

わずかに心地良さが入り交じり

相反するふたつの感覚が彼女を苛んだ。


「厭っ………! やめて………!!」


「大人しくしないともっと強い媚薬を呑ませますよ」

その言葉に身体が凍る。

じわりとその両目に涙が浮かんだ。


静かになった彼女に暗い笑みを浮かべ、その唇が降ってくる―――。



かのように思われたが。



ドサッ。突然、男達が倒れていく。

ひとり、また一人と。


「律花ッ………!!」

ドアを蹴破り、幼なじみが姿を見せた。

それと同時に、彼のものでないいくつもの靴の音をとらえる。


「ハク………?

それにゼンにキラ、シモンまで………どうして…………。」

その問いには答えず抱きしめられて。


「遅くなってごめん………怖かったよね」

陽だまりの匂いのする金色の髪。

頭上から降ってくる声に、キラに包み込まれてるのだと気づく。


「キラ。気持ちはわかるが、そいつを離してやれ」

ハクの声に、パッと腕が外される。


「あっ………ごめん! キミが無事なんだって思ったらつい、」


「ううん。助けてくれて、ありが、と………う」

緊張の糸が切れ、ぐらりとふらついた身体。

眠ってしまった彼女の膝裏をさっと掬う。


「行こう。こんな処にいられないでしょ」

靴の音を忍ばせ、荒れ果てた病院を後にした。




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