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偽物女優【恋プロ長編◆裏】

第3章 救出 *


「ん…………。」

ひんやりとした空気を感じ、律花はゆっくりと瞼を開いた。

ひどく物哀しげで、周囲には濃い錆の匂いが立ち込めている。


(どうして私はここにいるの………?)

軋む頭に手をあてながら起き上がって、記憶の箱を探る。


(密花からのメールを読んで、それで………、)

あの後なにが遭って、どうして此処にいるのか。

それだけが思い出せなくて、ため息をついた時。


コツ、コツ・・・といくつもの靴の音をとらえて、彼女はふり返り

そこで初めて、ここが廃墟の病院なのだと気づいた。


「起きたのか。………まぁでも、」

『そのほうがずっと楽しめそうだ』―――見知らぬ男は野卑な笑みを浮かべ

舐めるように律花の身体を見分した。


「っ…………。」

自分の身体を抱きしめるように腕をかけ、ふいと彼らから視線を外した。


「そんなに怯えることはないだろ? ただお互い楽しもうってだけだ」

錠剤を含んだ一人が、律花の髪をつかんで上向かせ―――。


「っ…………!?」

唇を重ねた。

口内に入ってきた錠剤。反射的に、こくりと喉を上下させる。


「な………なにを呑ませたの」

ビリビリと服を裂かれ、恐怖が胸を塗りつぶした。


「やっ………厭あぁっ!!」

視界が霞み、身体の奥から熱が宿るような心地を覚えた。

抗いたいのに、力が入らない。

むしろそう願うほど、身体の力が抜け落ちる感覚。



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