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偽物女優【恋プロ長編◆裏】

第2章 身代わり


忙しなく靴の音を響かせ、階段を下りようとしたその時。


『誰か』に、腕を引っぱられ………。

口元にあてがわれた布は

息を吸ったらきついアルコール消毒液のような匂いがした。


(これ、は………。)

麻酔薬………。

子供の頃、好奇心旺盛だった自分は

女医の祖母に一度だけ嗅がせてもらったことがある。

もっとも、この匂いより遥かに薄められたものだったが………。



だんだんと身体から力が抜け落ち、瞼が下がっていく。



律花、………律花!

その声が誰のものなのかも理解らないまま。


意識を霧に沈めた。




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