第12章 一心同体
『分かった…そうしたいなら殺してやるよ…』
衣月はそう言って銃の安全装置を外した。
まっすぐ烏哭に銃を向けて発砲した。
ーパァンッ!!ー
銃弾は烏哭の耳の横を掠った。
『これで…烏哭三蔵法師は死んだ。いるのは你健一という男だけ。』
衣月のこの言葉に你健一は笑った。
『ックックッ…なんだよ…それ…殺してくれないんだね…』
『さぁね…あとは上層部がどうするかじゃない?』
衣月は你健一の言葉に冷たく言い放った。
ー恒天城ー
『戻ったか…』
門の前にはまるで6人が帰ってくるのを知っていたかのように紗烙が立っていた。
『紗烙…コイツを旭陽殿に連れていかないと…』
衣月は三蔵法師としての真面目な顔で言った。
『だろうと思ったけどな。そいつは私が用意した車に乗せろ。』
紗烙はそう言ってタバコを吹かしつつ言った。
ー旭陽殿ー
『此度の活躍…誠に大儀であった…烏哭三蔵法師の件は三蔵法師の役職を解任。無天経文の守り人は煌玄三蔵法師へと兼任する。烏哭三蔵法師の身柄は旭陽殿、地下牢にて幽閉とする。』
三仏神は三蔵一行を解雇したのを忘れたかのように淡々と言った。
そんな三仏神に抗議の証として三蔵はタバコに火を付けた。
衣月も悟浄も…
『あのさ…解雇しといてその態度はねぇんじゃねぇの?』
こう言ったのは悟浄だった。
『確かにな…蘇生実験を止めたのはてめぇらが全否定した三蔵法師だと言うことを忘れんじゃねぇよ…』
三蔵は衣月をちらっと見て言った。