第12章 一心同体
『あの…独角兕さんっ!!』
『ん?どうした?』
里白が突然、独角兕に言った。
『独角兕じゃなくて…悟浄のお兄さんとしてこれからは生きて貰えませんか?』
『お前…何言ってんだよ…今更そんなの…『いいんです。悟浄のたった1人の家族だから…あたしには誰も助けてくれる人はいなかったから…せめて…悟浄にはそういう存在が必要だと思ったから…身勝手ですよね…』いや…ありがとな…そういうのも悪くねぇかもな…』
悟浄の言葉を遮って言った里白。
悟浄も里白の気持ちを知って…嬉しくなった。
『そうするか…紅…俺はコイツらと一緒に行く。お前はこれからどうする?』
独角兕もそれを承諾した。
『俺は…この城に残る。李厘と八百鼡もいるしな…』
紅孩児は少し寂しい気持ちになったが承諾した。
聖天経文を無事取り返した三蔵も一安心という所だろう。
仲直りというような形で牛魔王の蘇生実験による桃源郷を脅かした大事件は終止符を打った。
『ふーん…終わっちゃったねぇ…』
『烏哭…』
衣月含む一同は突然…現れた烏哭に身構えた。
『いや〜…全てが無になっちゃったからね…無って悲しいね…』
『はっ?なに言っちゃってんの?頭大丈夫?』
自嘲するように言った烏哭に衣月が言った。
『光明と煌央の忘れ形見…煌玄だっけ?光明とオーラが似てるよ…でも、性格は煌央だね…』
烏哭は昔を懐かしむように言った。
『何がしたいの?三蔵法師の正装までして…』
衣月の言う通り…烏哭は白い法衣に経文を双肩にかけて三蔵法師の正装姿なのだ。
『もう、どんな色かも僕には分からないからね…罪を償おうかとね…光明とのカケだったからさ…光と闇…どっちが勝つか…こうなったら…僕の負けだからね…ここから近いのって旭陽殿だっけ?裁きでもなんでも受けるよ…』
『どういう心境の変化?気持ち悪っ!!』
『酷いなぁ…そういう所は煌央にそっくりだなぁ…ねぇ…なんなら…この場で僕を殺してよ…』
そう言った烏哭は全てを覚悟したようだったがどこか悲しそうにしていた。