第2章 背負った過去
『腹減った…次の街ってあとどれくらい?』
悟空がいつもの様子で言った。
それにケンカを吹っかける悟浄。
それに怒る三蔵。
いつもの日常なのに…里白の様子が可笑しい。
『里白?どうしたんですか?』
それに気づいた八戒が声をかけた。
『なんでもないですよ。』
里白はできるだけ笑顔で言ったつもりだった。
『そうは見えませんよ。どこか具合でも悪いんですか?』
『大丈夫ですよ。気にしないでください。』
里白が頑なにそう言うので八戒は気にしないようにした。
〖穢らわしい…出来損ないなのに一丁前に来るもの来るなんてね。あんたさえいなければ…あの人は…〗
初潮を迎えたある日。
母親にそう言われた。
母親から聞かされたことがある。
父親は私が出来て逃げたらしい。
妊娠に気づいた頃にはもう、おろせる時期ではなかったらしく、産むしかなかったのだと。
私さえいなければ父親であるその男はいつまでも傍にいてくれたから私が邪魔なのだと言われ続け叩かれ殴られた。
そんなある日…
〖こんなことしてたのしい?〗
家を出て身売りや賭博をして生活していた私。
その日は拷問が好きな奴に当たってしまってあちこちがボロボロだった。
〖あなたに何がわかるんですか?〗
〖何もわかんねぇよ。あんたじゃないんだから。〗
〖だったら…口出すな。〗
〖いつも、アンタをみてたけどさ。もっと自分を大事にしな?そんな商売しなくたって魅力的だよ?〗
〖あなたがお坊さんなら、わかりますよね?この髪がどういう存在か…〗
〖わかってるよ。分かってて言ってる。人って見た目だけが全てじゃないと思うよ?どんなに見た目が綺麗でも中身が伴わないとそれはただのブサイクだよ。〗
そんなことを言いつつタバコを吹かす年上の三蔵法師。
その人は私に希望をくれた。
でも…月に1回…この日がくると思い出す…