• テキストサイズ

~桜の木の下で~

第10章 現状打破



『ふんっ!後悔するぞっ!!』

紅孩児はそう言って炎獄鬼を召喚した。

衣月は咄嗟に三蔵に覆いかぶさり、羽織るだけだった法衣を三蔵と自分にかけた。

三蔵の頭に魔天経文を自分の頭に有天経文を被せた。

『甘いんだよっ!!ばーかっ!!』

『まったくだ…そんなんじゃ…俺らは殺れねぇな…』

三蔵と衣月はそれぞれ右手にやけどをしたが、まだ倒れてはいない。

衣月と三蔵は立ち上がって銃を左手で構えた。

『てめぇの手の内はこれだけか?』

三蔵はそう言いつつも銃を下ろし、右手を押さえた。
衣月も同じように辛そうに右手を押さえた。


『あんたはさ…何に迷ってんの?今だってあたしらを消し炭に出来たはず。』

衣月は紅孩児を迷いのない真っ直ぐな瞳で見て言った。

『黙れ…』

紅孩児は呟くように言った。

『そうだな…さっきもお前は攻撃を逸らした。なんの攻撃もしてこない相手に躊躇して回避の隙を与えた。そんなんじゃ…お前は…一生…俺らには勝てねぇんだよ…』

『だまれぇぇ!!!玄奘三蔵っ!!!』

紅孩児は怒鳴るように叫んだ。


紅孩児が次の攻撃に構えた瞬間…

天から光が差し込み…紅孩児、独角兕以外の妖怪がチリとなって消えた。

『何が起こった!?』

流石の紅孩児も驚いているようだ。

『さすがに…やばいかなと思ったけど…こうした方が早いかと思ってね。有天経文は…生と在を司る…悪しき者は排除し、よき者は生を与える。浄化、回復、癒し、…それが出来る。アンタは消えないならアンタは悪しき者じゃないってこと。今は失せな…悪になりきれない奴と闘ったってなんの得にもならない。』

冷たく言い放つ衣月。

『……おい、女…俺の所にこい。お前が更に気に入った。』

紅孩児はフッと笑って言った。

『やらねぇよ…衣月は俺のもんだ。』

『そうだ!あたしは三蔵のもんだ!!』

『ふんっ…また、奪いにくる…経文もその女も…』

紅孩児はそう言って去っていった。

/ 168ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp