第6章 直情径行
宿屋の食堂に2人が行くと、悟浄と悟空がケンカをしていた。
『あーー!それ、俺のベーコンじゃねぇかよっ!!』
『いいだろ!まだ取ってくりゃあるだろうが!』
『そういう問題じゃねぇだろ!!クソエロ河童!!』
『なんだとっ!!お子様猿!!』
『ガキって言うな!!赤ゴキブリ河童!!』
『あ…おはようございます。三蔵』
『おはようございます。』
里白と八戒が三蔵と衣月に気づいて言った。
『おはよう。』
『あぁ…』
珍しく悟浄と悟空がケンカをしているのに止めない三蔵。
代わりに止めたのは…
『よし、そんなに静かに出来ねぇなら今すぐにでも静かにさせてあげるから大人しくしててね?』
素晴らしいくらいの笑顔で衣月が銃を悟浄と悟空に構えた。
『いや。その距離はダメだって…な?俺が居なくなったら里白が悲しむし…』
悟浄が焦ったように言った。
『安心して。2人の喉の辺りを射抜けば問題ない。』
『安心出来ねぇよっ!!静かにするからやめてーー』
本気の衣月の目に悟空までもが焦りだした。
『分かればよろしい。』
衣月は銃をしまって何事もなかったかのようにまた食べ始めた。
相変わらず衣月の食べる量は少ない。
ベーコン1枚とハニートースト1枚。
『あれ?衣月…胸…』
里白は衣月の胸にサラシが巻かれていない事に気づいた。
いつもなら、胸がサラシで巻かれていてペッタンコな筈なのに…今日は豊満な胸が目立っていた。
『もう、隠さなくていいかなって。自分は自分らしくいこうかなって。』
そう言った衣月はどこか幸せそうに微笑んでいた。
『なにかいい事ありました?』
『別に?何も〜?』
八戒が尋ねたが衣月はそう言って楽しそうに幸せそうに笑うだけだった。