第5章 五里霧中
『まぁ、いますけど…衣月?落ち着きましょう?』
里白は衣月をひたすら宥める。
切れた衣月はなかなか収まらない。
『すまない…先程のお礼のつもりだったんだが…』
紅孩児は明らかに落ち込んでしまった。
『よし、家はどこだ?家まで送ってやる!』
独角兕がすかさずそう提案した。
『えーと!じゃ、私たち、ウィンドウショッピングしてるんです!!荷物持ちお願いします!!ね?いいですよね?衣月。』
『勝手にすればー?』
『じゃ、そうしましょうか!あ!衣月!このお店先に行っててください!』
里白は衣月をランジェリーショップに押し込んだ。
『すいません…ちょっとまっててください。機嫌治してくるんで…』
里白は独角兕と紅孩児にコソッと言った。
『おっ…おう』
紅孩児はさすがに店には入れずに赤面していた。
『こういうの衣月…好きでしょ?ほら!スケスケ!!こういうのを着て、三蔵を誘惑しちゃうなんてどうです?』
『え…あ…うん…それも悪くない…』
紫色のセクシーな下着を見ながら目をキラキラさせる衣月。
さっきの怒りは消えたようだ。
『あの人たちは荷物持ち!!ただの荷物持ち!!それだけの存在です。こういうのたくさん買ったら私たちじゃ持てないでしょう?』
『うん…』
『はい!という事でこれ買ってきてください!!私もこの赤の下着買いますから!!』
里白はそう言って衣月に紅い下着を持たせてレジに向かわせた。
店から出てきた衣月の機嫌は治っていてさっきのとは比べ物ならないくらいルンルンしていた。
紅孩児はそんな衣月を可愛いと思ってしまった。
『あの殺気に似た怒りをどうやって鎮めたんだ?』
紅孩児は疑問に思って里白にこっそりと言った。