第5章 五里霧中
何度か繰り返した後…
『今はこれだけで我慢してくんねぇ?』
そう言った悟浄の瞳はいつもの瞳ではなくて、獣のようにギラギラとしていた。
その瞳に体がゾクッとした。
『はい…』
と答えるのがやっとだった。
翌朝…街を出た。
それで気づいた。
もう、朝なので閉まっているがキャバクラやスナックやBARなどが軒を連ねている事に。
悟浄は夕飯を食べてからずっと里白と居てくれたのだ。
前までは直ぐにそういう所に遊びに行っていたのに。
そう思うと里白の心の中には優越感が芽生えた。
『なぁ、キスってどんな味するんだ?』
『ブハッ…ゴホッゴホッ…なんだよっ!!突然…』
唐突に悟空がそんなことを言い始めた。
原因は明らかに悟空の斜め前に座る2人。
人目も幅からずにイチャイチャするのがこの2人。
『んータバコの味ですかね。』
里白がそう言って微笑んだ。
『えータバコなんてぜってぇ美味しくねぇじゃん!』
苦笑いしつつ答える悟空。
『それがねー好きな人のタバコの味なら美味しく感じちゃうんだなー人それぞれだろうけどさー』
衣月がどこか嬉しそうに言った。
『わけわかんねぇ…』
『悟空はわかんなくていいんですよー』
いじけてしまう悟空に八戒が宥めるように言った。
『ガキだからな〜小猿ちゃんは』
『ガキって言うな!』
『ガキだろ〜?』
『2人ともいい加減にしないと…』
ーパァンっ!!ー
『うるさい…』
『衣月が怒りますよーってもう遅かったですね。』