第5章 五里霧中
里白は迷っていた。
ジープに乗っている時だって仲良さそうにしている衣月と三蔵。
里白と悟浄はいつものようにただ座っているだけ。
今も悟空と悟浄のケンカをいつものように止めただけ。
結ばれてもいつもと変わらない。
今だって…せっかく二人部屋に泊まることになったのに会話はない。
悟浄は布団に寝っ転がった状態でエロではない雑誌を読んでいる。
里白は読書。
これじゃ…いつもと変わらない。
衣月のように素直にストレートに気持ちを伝えられる人になりたいと思った。
でも、こんな事を衣月に言ったところで…
〖それは里白しだいじゃない?何事も勢いが大切だよ?〗
なんて返してくるはず。
それが出来たら苦労しないのに…
『ねぇ、悟浄…』
『ん?どしたの?』
『私の事…好きですか?』
『好きだぜ?どしたの?急に…』
そう言って里白が座っていたベッドの横にきて腰に手を回してくる悟浄。
『そういうことはしてくるのに…その続きはしてこないですよね。やっぱり…ベッドでのお相手は衣月のようなスタイル抜群の女性じゃないとダメですか?』
悟浄は寂しそうに言う里白を何も言わずに抱きしめた。
『ゴメンな…不安にさせちまってたんだな…俺はさ…里白を大事にしたい…俺がまだ…そういうのに踏み出せねぇんだ…』
そう言った悟浄の口調は優しかった。
『分かってはいるんです…でも…』
『三蔵と衣月を見てると羨ましく思えてくるんだろ?』
『え?』
『そりゃ…寂しそうに三蔵と衣月を見てりゃ誰でも分かるっつうの…』
『隠してたつもりだったんですけどね…』
『隠せてねぇよ…』
『あはは…っ!?』
悟浄は里白にキスをした。
軽いのでは無く深いほうのを…