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~桜の木の下で~

第23章 眠っていた力



『まぁ、いつもの衣月が戻ってきたって事でいいじゃないですか。衣月…この期に及んで隠したいことでもあったんですか?』

そこに八戒が現れた。

『聞いてたの?乙女の話を盗み聞きするとか趣味悪くね?』

不機嫌そうに言う衣月。

『人聞きの悪いことを言わないでください。扉開けっ放しなんですから、そりゃ聞こえますよ。』

困ったような呆れたような様子で八戒が言った。

『隠したいことか……ある事はある。無天経文の継承者は本来はあたしだったかもしれないって事かな。』

『『えっ!?』』

衣月の唐突な発言に八戒と里白は驚きの声をあげた。

『その時…あたしは有天経文を継承するって決めてた。先代に連れられて色んな三蔵法師に会った。その時の無天経文の守り人だった三蔵法師に継承者にって言われたけど断った。紗烙に会ったのは三蔵法師になってからの話。有と無を司る三蔵法師が存在してしまったら…有り得なかった事を有り得る事へ…有り得たことを無かったことに…』


衣月はそう言って旅の途中に買ったZIPPOを持って悲しそうに微笑んだ。




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