第23章 眠っていた力
『全てを消そうとしていた…』
里白がそう言った。
『なるほど…自分が壊れる前に何もかも消して否定しようとしたわけですね…』
八戒が納得した様子で言葉を付け加えた。
『思い出したんです。衣月…完全にキレると無表情になって暴れ回っちゃうんです。それで…キレた後の事は何もかも忘れてるんです。最近の衣月…様子がおかしいなとは思ってたんです。』
里白は思い出したかのように言った。
『確かに……体を重ねていたが…妙に口数が少ないなとは思っていた…』
三蔵は思い出すかのように言った。
『気づいてたなら、私にでも言ってきてくださいよ。』
『…すまん……』
里白は三蔵に黒いオーラを纏わせながら言った…
そのオーラに思わず三蔵も謝ってしまった。
『どうしたらいいんでしょうか…衣月はこのままでは壊れてしまう…』
里白は困ったように言った。
『俺…前の衣月がいい…最近の衣月ってなんかピリピリしててヤダ。』
話をずっと聞いていた悟空が寂しそうな悲しそうな様子で言った。
『元に戻る日は必ず来ます。僕はそう信じたいです。』
八戒は眠る衣月を見て悲しそうな顔で言った。