第23章 眠っていた力
経文が光り出すのをやめるのを確認すると三蔵は衣月の唇から己の唇を離した。
『衣月の力は桁外れだ。どんなに修行を積んでも何をしてもてめぇではコントロールすることすら出来ない。今のように誰かが止めないと暴走しつづける。そんな奴が三蔵法師だと知ってお前は衣月を見下したんだろうが…そもそも…お前のような奴に暴走状態になった衣月が負けるわけねぇんだよ…』
三蔵が僧侶に冷たく言い放つと僧侶は舌打ちをして走り去った。
『良いんですか?追わなくて…』
里白は動かない三蔵に言った。
『放っておけ。有天経文の守り人は日に日に狂っていくと聞いたことがあるが…本当だったか…』
三蔵は眠る衣月を見て悔しそうに言った。
『なぜ、そうなってしまうんです?今まで普通だったのに…』
八戒が悲しそうな顔で衣月を見つつ言った。
『有天経文の守り人は最も人らしい者が選ばれるらしい。喜怒哀楽がそこら辺の奴らよりもしっかりしているからこそ、何かのタイミングで狂っていく…先代の三蔵法師も何度も自害を繰り返していたとお師匠様から聞いた事がある。』
三蔵は衣月をどこか辛そうな顔で見ながら言った。
『でも…なんで衣月…無天経文なんてかけてたんだ??』
悟空が不思議そうに言った。
確かにそれもそうだ。
4人はひたすら考えた。