第21章 体がいくつあっても足りない!!
『なんだよもう…ただの嫉妬じゃん。』
『悪いか…』
『開き直るなっ!!てか…なんだろ…この雰囲気…妙にムラっとする。いや?違う…なんかおかしいの。この宿屋…』
『どういうことだ?』
衣月の言うような違和感は全くない三蔵は意味が分からないという様子だ。
ーバァン!!
『大丈夫ですかっ!!』
突然、ドアが開いて宿屋の主人が血相を変えている。
『あ…お客さん…遅かったですか…突然、すいません…実はこの近くに坊恋花(ぼうれんか)と名付けた不思議な花が咲きまして…あの慶雲院のお坊さん達だけが誰フリ構わず女性を求めるようになってしまい…もしかして…その方は修行僧の方ですか?』
宿屋の主人は衣月を見て言った。
『いや、違う。少し体調がすぐれないらしくてな。その僧侶たちの共通点はあるか?』
三蔵は冷静にそう答えた。
『共通点……あ、そういえば1度だけ生きることを諦めて出家した方々だったようで…』
宿屋の主人はそう答えた。
『そうか、分かった。衣月…行くぞ。』
『うん…』
衣月はフラフラしている衣月を支えると部屋を出た。
『お客さん…本当に大丈夫ですか?』
心配そうに訊ねる宿屋の主人。
『あぁ。大丈夫だ。訪ねようとしていた知人の家もすぐそこだからな。』
三蔵がそう答えると宿屋の主人は納得したようで、2人を見送った。
2人はなんとか寺院までたどり着いた。