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~桜の木の下で~

第21章 体がいくつあっても足りない!!



『はぁ…ついてこい。』

そう言って三蔵が衣月に手を差し出した。

何も言わずに衣月はその手を取ると三蔵は何処かに向かって歩き出した。

そこは何の変哲もない宿屋。

オシャレなラブホとかではなく、旅人が泊まるような質素な宿屋。


部屋に入ると、三蔵はソファに座るとタバコを吸い始めた。

『隣にこい。』

そう言う三蔵に何も言わずに衣月は隣に座った。

『俺がお前を捨てると思ったか?』

呆れたような口調で三蔵が言った。

『だって…いつもあんなセックスするから…それだけの女になっちゃったのかなって…んっ…』

〖思って、悲しくなってた〗と続けようとした衣月の唇を三蔵が塞いだ。

『んなわけねぇだろ…悟浄は里白に惚れているだろうと勘づいたから…別になんとも思わなかった。八戒も昔の恋人の事が忘れられんだろうからな。悟空は恋愛沙汰なんてよく分かってねぇだろうしな…旅をしていた頃は安心しきっていた…だがな…帰ってきてからは違う…いくらお前が尼僧だとしても寺の修行僧の連中からしたらただの女にしか見えねぇ…』

三蔵はそう言い終わると短くなったタバコを灰皿に押し付けた。

『そりゃそうだろうけど…あたしは弱くないよ?わっ!!』

三蔵は衣月を押し倒した。

『本気で抵抗してみろ。』

『え?』

『良いからやってみろ』

三蔵の言葉に抵抗しようとしたが、ビクともしない。

『お前が旅の途中に襲われた妖怪共とは違う。俺を含め、修行僧ってのは鍛錬を積み重ねた連中だ。お前も鍛錬を積み重ねて経文を継承したかもしれんが、男と女の力の差では勝つことすら出来ねぇんだよ。それで押さえつけられて襲われたらお前は対処できるのか?』

『それで、あんな事してたっての?気づくかボケっ!!』

『うるせぇ…気づかないで勝手に凹んでるお前が悪い。』

起き上がって何事もなかったかのようにタバコを吹かす三蔵。







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