第21章 体がいくつあっても足りない!!
数時間後…
『なんだ…突然呼び出しやがって…』
あからさまにイラついた三蔵が来た。
『まぁまぁそんなにイライラしないでくださいよ。』
そう言って変身した衣月を里白が三蔵の前に押し出した。
衣月の格好は例えるならギャル!
元々、あいていたピアスホールにアメジストの飾りがついたピアスをしている。
『ね?可愛いでしょ?このまま、デートにでも行ってきてください。』
里白のオーラのような何かに負けた三蔵は衣月を何も言わずに連れ出した。
『なんだかねぇ…』
その様子を見送りながら悟浄が呟いた。
『三蔵も素直に可愛いって言えたらいいんですけどね。』
そのつぶやきに察したかのように里白が言った。
『そうですね…無理矢理感のある行為をしてしまっているのも…誰かに取られるのが怖いっていう気持ちからなんでしょうね…素直にそう言えたらいいんですけどね。三蔵には難しいでしょうね…』
八戒もため息をつきつつ言った。
『………』
『………』
よく考えたら、デートなんてした事がない2人はどうすべきか考えながらただ街を歩いた。
『あのさ…三蔵はさ…あたしのどこが好きなの?』
思いっきって沈黙を破ったのは衣月だった。
『…真っ直ぐなところだ…1度や2度凹んでも必ず這い上がってくる…そんなところだ…』
三蔵はそう答えた。
『あたしはさ…三蔵の実は優しいとこも…本当は弱いのに強くあろうとするところ…自分が大切だと思った物は意地でも守り通そうとする信念…他にもいっぱい…好きなの…だけど…最近はわかんない…顔を合わせたら合わせたで…事務的なやりとりしかない。2人きりになれたと思えば…勝手にして勝手に終わる行為しかしないしっ!!あたしがイヤになったなら今すぐにでも追い出してよ…いらないって言ってよ!!』
衣月は泣きそうになるのを堪えて言った。
これで捨てられたら?本当にお前なんか好きじゃないって言われたら?
そんな不安に押し潰されそうだった。