第19章 一樹之陰
悟空が寝た後に衣月はドキドキしながら金蝉を待っていた。
別に変な事をする訳ではなく、火傷したところに薬を塗るだけ。
とはいえ、場所が場所なのだ。
『そんなに緊張するな…俺まで緊張する…』
金蝉は衣月の様子を見て言った。
『分かってる…でも…』
『ほら…早くしろ…』
『うん…』
恥ずかしそうに下着を脱ぐ衣月。
『んっ!?…なにすっ…んっ…』
金蝉は衣月を抱きしめて突然、濃厚なキスをした。
最初は戸惑った衣月だったが初めての感覚に酔いしれていった。
『んふぅっ!!!!!』
突然きた下半身の激痛に衣月は声をあげた。
『痛かったか?』
『いたい…いたいよぅ…』
衣月は幼い子供のように金蝉にすがりついて泣いている。
『すまん…少し我慢出来そうか?』
『うん…我慢する…』
薬を塗る間、金蝉は衣月にキスをしてくれていた。
なんだかその感覚が心地よくて…痛いのに痛くなくなるような気がした。
そのうち…衣月の気持ちは…
好きから愛してるに変わっていった。
いつしか、衣月と金蝉は恋人同士になっていった。
しかし、そんな中…天界は不穏な空気が立ち込めていた。
『大丈夫だ。必ず…また会おう…その時は…またお前が好きな…〖噛み付くようなキス〗してやる…』
金蝉はそう言って悟空を下界に連れ出す為に衣月にしばしの別れを告げた。
『大丈夫だよね…戻ってくるよね?』
『はい。そう、信じたいです。』
『里白は良かったの?捲簾が好きだったんじゃないよ?』
『そうですけど…いいんです。また、会えたら…その時はちゃんと伝えたいんです。』
里白はそう言って微笑んだ。