第19章 一樹之陰
『なんてことがありましてね…双子の妹とはいえ…こんなに違うものなのかなーと。』
捲簾に部屋の掃除をしてもらって一息ついていると天蓬が今日の朝方にあったことを話していた。
『そりゃ…里白ちゃんは出来た子だよなー。のお前と正反対。だけどなーたまーに…変な事言っちゃうんだよな…』
『変な事ってなんです?』
捲簾の言葉に天蓬が不思議そうに言った。
『うちの上司の股の緩さをどうにかする方法はないかーとか、いっその事…男の1人2人作ってもいいのにとか…』
『あー…里白はそういう所がありますね。まぁ、衣月も確かに自由すぎますからね…あの自由さをどっかの誰かさんにも見習って欲しいものです。』
『どっかの誰かさんって?』
タバコに火をつけながら捲簾が言った。
『金糸の髪でいつも眉間にシワがよってて…つまらなそうな顔してるあの人ですよ。』
『あーあのお坊ちゃんのことか〜』
天蓬の説明に捲簾も誰か分かったようだ。
『天ちゃーーーーん!!』
ドアがバーンッ!!と開け放たれて登場したのは悟空という異端の子供。
先程、説明されていた人物が面倒を見ることになったそうだ。
『あ、健兄ちゃんも来てたんだ!』
『おう。相変わらず、元気だなぁ?』
『えへへ…』
捲簾に頭を撫でられて嬉しそうにする少年。
名を悟空。
『なぁ…今そこでさ、ものすごく綺麗な人がいて…服とかもボロボロで…とりあえず…来てもらったんだけど…』
悟空がそう言うとドアの所によく知る人物が立っていた。
『衣月っ!?どうしたんです!?』
天蓬が衣月に駆け寄る。
『なん…でもない…大丈夫…大丈夫だよ…』
そう言った衣月だったが明らかに声が震えている。
『話してください。強がらなくていいんです。 捲簾…里白を呼んできてください。』
『分かった。』
捲簾は急いで里白を呼びに行った。
『悟空は金蝉に言って服を借りてきてくれますか?』
『分かった!!』
悟空が勢いよく走って行った。