第19章 一樹之陰
昔々の話をしよう。
『あーーーーーーー!!!退屈!!どの男たちもみーんなっ!!言うこと同じ!!挙句の果てには俺の子を産んでください!だとっ!?ばーか!ばーか!』
『衣月…今日も荒れてますね?』
そう、声をかけたのは天蓬元帥。
『天蓬~~~!!なんでこう、あたしが観世音菩薩の娘だからって寄ってきた挙句の果てにその子孫を遺して天下統一ヒャッハーってしてるわけ?』
衣月と呼ばれた女性はそれはそれはセクシーな服装で中性的な顔立ちをしていた。
しかし、その容姿端麗な姿とは想像もつかないくらい口が悪かった。
『まぁ、皆さん…出世したいんでしょうね。』
苦笑いしつつ天蓬は言った。
『衣月…こんな所にいたんですか。明日までの書類があるんです。早くしてください。』
『里白…そんなに騒がなくたってやるよ~』
衣月はダルそうに答えた。
『天蓬…またその服ですか?もう少し…キチンとしてくれませんか?部下への示しがつきません。』
『アハハ〜分かっているんですけどね…コレが1番楽で…それよりも、逃げそうな衣月を捕まえないとまた逃げられますよ。』
『あうっ…』
天蓬の言葉に無言で衣月の服を掴んだ里白。
思わず変な声が出る衣月。
『衣月…行きますよ?』
『はい……。』
里白は衣月を引きづっていった。