第18章 悪木盗泉
『近親相姦など近親で恋愛をしてしまったもの達が集まるんです。そして、さっきのは私の異母兄弟です。』
里白は複雑そうな悲しそうな顔で言った。
『里白は強姦されたんだ…さっきの男に。あとは血は繋がっていなくても、兄弟にあたるなら、必然的に導かれる…』
衣月はそう言って短くなったタバコを携帯灰皿を取り出して消すと三蔵に渡す。
『だからなんだってんだ。俺にはんなもん…関係ねぇよ。』
三蔵はそう言って衣月に渡された携帯灰皿で自らのタバコの火を消した。
『まぁね。里白は気にしてるの?』
衣月は里白に言った。
『気にします。あの男に体を売らされていたから…あの男にだけはあいたくなかったんです!!体って…正直なんです。嫌って気持ちはあっても体はあの時の快感を覚えてしまっているんですっ!!また戻りたいと感じてしまった自分が嫌です…悟浄にも申し訳ないですっ!!』
里白は叫ぶように言った。
『じゃ、この街に残る?滅びた街や崩れた土地が多くて、ここら辺を通らないと長安には辿り着けない。里白がその気持ちを整理しないといけない。』
衣月は里白の涙でグチャグチャな顔を真っ直ぐに見て言った。
『里白…俺は里白の過去の事も全て受け入れるつもりでいるぜ?忘れられない過去があるのは俺だって同じだ…気にするな…』
悟浄は里白を抱きしめて言った。
『三蔵…少しの間、ここら辺に居よう。次の街までそんなにかからないし、その街に滞在しよう?』
『分かった。』
衣月の言葉に三蔵は素直に納得してくれた。
しばらく行くと、街にたどり着き、宿をとった。