第16章 神色自若
『あたしは決めた…偽るのはやめにする。ちょっと離れてくれる?三蔵…大丈夫。あたしはどこにもいかない。もう、迷わない。』
その衣月の言葉に三蔵は衣月から離れた。
衣月は無言でその2人に向かっていった。
ーパンっ!!
渇いたような音がなった。
衣月が中年の女性をビンタしたのだ。
女性は衣月を睨みつけた。
『間違ってたよ。アンタを次の後継者候補にと考えていたけど、あたしが死ぬように仕向けて自分が無理にでも継ごうと思ってたなんてね。』
衣月は冷たい視線を女性に向けながら言った。
『仏道において、色恋沙汰など…ご法度っ!!そんな不浄な者などこの世から消え去ってしまえばいいのです!!』
女性は喚き散らした。
『あのさ。この世の中でそんなもんが制御できると思ってんの?』
再び衣月は冷たい視線を女性に向けながら言い放つ。
『できるようにするのが修行なのです!!』
女性は喚くように言った。
『じゃ、お前が今すぐ死ね。』
『なんて言うことをっ!!そんな物騒な物を何故持っているのですかっ!!』
暴言吐いて銃を向けた衣月に女性は喚き散らした。
『人なんてな。欲の塊なんだよっ!!お前に何が分かる?このあたしの何が分かる?旅に出る前からあたしの事を分かったように言いやがって!!ぶざけんな!あたしはな、この寺院で居場所がなくてとにかく、優等生をしようと必死だったんだよっ!!お前はいいよな!!見たくもない男と一緒の生活をしなくても良いんだから!!』
『あなたこそ何が分かるというのですかっ!!私が男に弄ばれ無理矢理に襲われ…辛い目にあったというのにっ!!』
女性はヒステリックに叫ぶ。