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~桜の木の下で~

第16章 神色自若


この寺に来てから3日は経った。
衣月は5人のいる部屋に近づかない。

衣月を見かけても異様な雰囲気に近づくのを躊躇ってしまう程に別人と化していた。


そんなある日の事。

衣月が倒れたと寺の尼僧から伝えられた。

5人は衣月の部屋へと急いだ。

『ゴホッゴホッ…ぅえぇい…はぁ…』

咳き込んだ衣月は血を吐いていた。

口を抑えた手ぬぐいにはべっとりと血がついている。

『っ!?』

衣月は突然…誰かに抱きしめられて驚いた。

『バカかお前は…』

抱きしめたのは三蔵だった。

『うん…そうだよ…気づいてたでしょ?』

『あぁ…だから俺から離れんなって言ってんだろうが…』

『分かってたけどここではそうするしかなかったんだもん…偽るのはやめられないし…』

2人の会話についてこれないほかの人々。


『衣月と三蔵が離れたら衣月が体調が悪くなる…もしかして!!前のあのオカマさんたちの時に衣月の言ってたことと言い…そうですか…アナタも師匠と同じ道を…』

里白は納得したように言った。

『どういうことですか?』

八戒は意味がわからないという様子で言った。

『契約です。力のあるもの同士が法力の元となる何かをお互いに肌身離さずもつ何かを相手に預けるんです。その法力のもつ何かをどちらかが使った場合は男女関係なく、お互いから離れてしまうと体に不調が訪れ、離れる期間が長ければ最悪、死にいたります。要は常にお互いが定期的に触れ合っていないといけない。』

里白は悲しそうに言った。

『そういう事…3日も触れ合ってなかったからね…体に限界が来たみたい…こんな状態になるのってさ…1代目の三蔵法師が受けた呪いみたいなもんなんだ。他の人達がやったってあたしみたいにはならない。あたしだって死にたくない…だけどさ…三蔵法師同士だと本来は同じ場所にとどまったらいけないんだ。三蔵といつかは離れて暮らさないといけない…』

衣月は俯いて三蔵を引き剥がすと里白の言葉に付け足すように淡々と語った。
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