第15章 琴瑟相和
3人は歯が立たないことにいイラついたのか3人のうち1人は暴言を吐き始める。
「なんなのよっ!!!三蔵法師なら黙って震えて食われてなさいよっ!!たかが人間の分際でっ!!」
「ふーん。そのたかが人間を倒せないのはだれ?どうせ、くだらない噂話で小娘1人ならねじ伏せて喰ってやろうとでも思ったんでしょ?」
衣月は無表情で妖怪の言葉に淡々と反論した。
その表情は本当に無で…
何かのキッカケで簡単に壊れてしまいそうな程の無表情だった。
「よっわ。」
衣月は3人の妖怪を蹴り倒してから言った。
里白もここまで無表情の衣月を見たことがなかった。
昔、衣月から聞いたことがあった。
〖あたしさ。キレるとやばいらしいよ。自分じゃよく分かんないけどさ。誰が声掛けても暴れ続けるんだって。〗
そう言ってヘラヘラと笑っていた。
しかし、今の衣月はそんな様子もなく、怖いほどに無表情で冷たい視線を倒れている妖怪に向けている。
「確かにやばいですね…誰かが止めないと…三蔵っ!?無茶ですよ!!今の衣月に近づいたらダメです!!」
里白が止めようとした時だった。
三蔵が衣月の近くに歩いていった。
「おい。衣月…落ち着け。勝手に忘れたことにしてんじゃねぇよ。」
「え?」
三蔵は衣月にしか聞こえないくらいの声で衣月を後ろから抱きしめて言った。
「俺はあの部屋にあったコーヒーを1口しか飲んでねぇ…そのおかげか忘れたのは少しだけだ。今、思い出した。」
「それ、忘れたってことじゃん…」
「うるせぇ…」