第14章 一期一会
〖衣月…〗
〖なんですか?てか、そっちの名前で呼ばないでくださいよ…誰かに聞かれたら不味くないですか?〗
〖誰も気にしはしませんよ。貴女は私の知り合いのご子息って事になってるんですから。〗
〖間違っちゃいないけど……で?なんですか?〗
〖江流に…母親って必要だと思いますか?〗
〖何を突然……〗
〖いやね?私としては…この寺には三蔵法師を継がせるのは江流と貴女以外しかいないと思ってるんですが…貴女は有天経文の後継者候補であって…聖天、魔天経文は江流にと思っているんですが…〗
〖人里に降りて母親の愛を感じて育った方がいい。ですか?〗
〖そういうことですね…〗
〖そんなの…江流は望んでないと思いますよ。そんなのは…江流が愛した人に任せちゃった方がいいです。あの子の性格上…誰にも心の全てを開かないだろうから。〗
〖そうですね……玄奘三蔵…あの子の法名です。どう思います?〗
〖いいんじゃないですか?〗
〖ちなみに…貴女の法名は煌玄三蔵だそうですよ?〗
〖ネタバレですか…なに、言っちゃった〜的な顔してんすか…楽しみにしててワァオ!ってしたかったのに…〗
〖あはは〜まぁ、その時は驚いたフリでもしてあげて下さい。〗
衣月はまさか…自分がその相手になるとは思っては居なかった。
三仏神から命を受けた時は懐かしいな程度にしか思ってなかった。
それが…大人になった玄奘三蔵となった江流に会った時に心惹かれてしまった。
この人じゃなきゃダメだと思ってしまった。
光明はこの事を知っていたのだろうか?と思うくらいに衣月に江流を頼むと言い続けた。
師匠である煌央も同じ事を言い続けた。
どういう事なのかとは思うが衣月はこの一時を大事にしたいと思った。