第14章 一期一会
『でも、あれでしょ?あの小娘…三蔵法師みたいよ?小娘でも喰らえば効能はあるんじゃないかしら?あの小娘はワタシが美味しく頂くわ…』
と黒髪の妖怪が言った。
『そうね…だったらワタシは金髪のお兄さんを頂くわ…』
と茶髪の妖怪が言った。
『赤い髪のお兄さんは…ワタシが抱き尽くしてあげる♪♪』
黒髪の妖怪はそう言って舌をペロリとした。
そんな事になっているとは知らない衣月と三蔵は…
『んっ…ちょ…まっ…んっ…』
部屋に入った瞬間に突然…三蔵にキスされまくる衣月。
そのうちベッドに押し倒された。
しばらくキスすると…三蔵は衣月を抱きしめた。
『え?どしたの?』
いつもなら…ここで押し倒してそのまま抱くのに…と衣月は不思議に思った。
『お前は…この旅が終わったらどうするつもりだ…』
三蔵は弱々しい声で言った。
『んー……どうするんだろう…でも、元いた寺には戻んないよ?』
衣月は三蔵のそんな様子に驚きつつ答えた。
『そうか……俺と一緒に暮らせ…永遠にだ…たとえ…三蔵の任を降りたとしても…』
抱きしめたままの為に三蔵の顔は見えなかったがその声には不安が混じっているような気もした。
『不安にならないの…あたしは三蔵が好きだよ。だからさっきみたいに突然…キスされたって雨の日に無理矢理されたって受け入れる。それがあたしが愛してる三蔵法師でもないただの男である玄奘三蔵だから…』
衣月は三蔵を引き剥がして三蔵の頭を撫でながら言った。
『フンッ…こういう時だけ歳上ぶってんじゃねぇ…』
『たまには歳上ぶらせてよ…』
『フンッ…好きにしろ…』
『はいはい…』
衣月は衣月の胸に顔を埋めながら言う三蔵の頭をヨシヨシと撫でた。
昔…光明とこんな会話をしたことがあったのを思い出した。