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【ダンガンロンパ】撃ち込め、恋の弾丸!【短編集】

第2章 希望を前に幸運はわらう【狛枝凪斗】


「う〜ん……」

苺を片手に、私は張り切って作った愛情たっぷりケーキを、これでもかという程に眉間に皺を寄せて見つめる。あとはこの苺達を飾り付ければ完成なのだけど、如何せん自分が納得のいく飾り付けが出来ない。
そんな私を横目に、輝々は料理を作りながら呆れたようにため息を吐いた。

「まったく…。はいつまで苺片手にうんうん唸ってるのさ」
「しょうがないじゃん。中々納得のいく飾り付けが出来ないんだからさ。輝々なら、この気持ち分かるでしょ?」
「うん、まあそうだけど…。でも、もう10分もそのままだよ?」
「え、嘘っ!?もうそんなに経ってるの!?」

それはいただけない。
そりゃあやっぱり、みんなの事を想いながら作ったのだから納得のいくまで仕上げたいけど、そうはいかないのが現実だ。ケーキの他にも作りたいものがあるし、モタモタしていたらパーティの時間に間に合わなくなる。
せっせと急いで苺を飾り付けるけど、やっぱりどうにも上手くいかない。一体何がいけないのだろうか。
むむむ、と唸る私を見かねてか、輝々が一旦料理を作る手を止めて様子を見に来てくれた。

「そんなに上手くいかないの?」
「うん…。何でか分からないけど……」
「んー……」

輝々が顎に手を当て、苺が入ったボウルとケーキを交互に見ていく。それを何回か繰り返していると、ピンと閃いたように顔を上げた。

「もしかして、単純に苺の数が足りてないんじゃない?」
「………盲点」
「はあ……」
「ちょ、ちょっとしたミスでしょ……!」
「ってそういうところあるよね……」
「う、うるさい……!」

何とも言えない恥ずかしさが込み上げてきたけど、輝々のおかげで無事原因は解消された。苺が足りないなら、またロケットパンチマーケットから取ってくればいい。
善は急げと言うし、素早くケーキを冷蔵庫に入れてから旧館の厨房のドアノブに手をかける。その際言い忘れた事を思い出し、私はくるりと後ろを振り返った。


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