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【ダンガンロンパ】撃ち込め、恋の弾丸!【短編集】

第1章 鈍感監視者さんと狛枝くん【狛枝凪斗】


「…………」

私の目の前に突き出される、ウサミちゃんのイラストがプリントされたおでかけチケット。そのチケットを目を丸くしながらまじまじと見てそろりと顔を上げると、頰を少し恥ずかしそうに染め上げながらじっとこちらを見ていたらしい狛枝凪斗くんと目が合った。
腕に抱いているウサミちゃんから、「キャー!もしかちてー!」という小さな叫び声が上がったけど、残念ながら私には彼女が予感している事を汲み取る事は出来そうにない。


(……え、えっと?)

見つめ合う事数秒。狛枝くんから言葉が発せられる事はないけれど、変わらず目の前に突き出されているおでかけチケット。でも、それがどういう意味なのか分からず首を傾げるしか出来ない私。
そんな平衡状態に痺れをきたしたのは、彼でも私でもなく、意外にもウサミちゃんだった。

「ん〜!もどかしいでちゅ〜!」

その言葉通り、本当にもどかしそうに唸ると、ウサミちゃんは腕から勢いよく抜け出しそのまま狛枝くんの肩に乗っかった。その際狛枝くんから「うわっ!」という悲鳴が上がったけど、ウサミちゃんはそれを無視してポフポフと彼の頭を叩き始めた。

「狛枝くん!ちゃんは鈍感さんでちゅから、ちゃんと言葉で言わないと通じないでちゅよ!」

失礼な、と言いたいところだけど、自分が狛枝くんの意図を読み取れていないのは事実。認めたくないけど、認めざるを得ない状況だ。
だから私はちゃんと把握する為にも、目をグルグルさせ頭を抱えながら「んううう……」と小さく唸り声を上げている狛枝くんと目を合わせてから口を開いた。

「すみません狛枝くん…。おでかけチケットを出したという事はそれ関連だという事は分かるのですが、いまいちちゃんと分からなくて……教えてくれますか?」

私の質問に、狛枝くんはピタリと唸り声を止めると目線をキョロキョロさせたり口を開いて閉じてを繰り返し忙しなかったけど、やがて意を決したように顔を上げてじっと見つめて言った。

「ボ、ボクとおでかけしてくれますか?」

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