第7章 初めての友達
何も言えなくなったティアナに、ベルも何も言わない。
しばらく沈黙が続いた。
でも寝てないことはお互いに分かっていた。
そして沈黙を破ったのはベルだった。
「私がティアナと仲良くしたいって思ったのは、まあ仲良くする
のに理由なんてないけど。興味を持ったきっかけはね、
ティアナが似ていたからなの…昔の私に」
「容姿が似てるとかじゃなくて、目が。心を閉じているところ、
感情がほぼないこと。そっくりだった」
正直に、意外だった。ティアナの知るベルは暖かくて優しくて
思いやりがあって。間違ってもティアナみたいになんて
なりそうもないのに。
「私がそうなったのは、恋人の死だった。耐えきれなくて、
心を閉ざすことで自分を守ろうとした。…でもね、その恋人の
お姉さんが怒って励ましてくれたの。自分だって辛いはずなのに」
その人がベルを救ってくれたのだ、と話す。その人のおかげで
ベルは心を壊さずに済んだし、今こうしていられると。
「だから今度は私が救いになってあげたかった。心を閉ざすだけじゃ
何にもならないって教えたかった。
…でも結局はそんなの自己満だから…」
「違うよ!…それは、違う」
生まれて初めて声を荒げる。人を救おうとしてくれたその温かさが、
情熱が、ただの自己満足であったはずがない。
それは身をもってティアナが知っているから。