第13章 悲しみと、不甲斐なさと
「兵長、あの…おこがましいお願いというのはわかっているの
ですが…」
「なんだ、言ってみろ」
「…抱きしめて頂いてもよろしいですか」
ティアナは恥ずかしくて再び俯いてしまったが、それでも
このお願いを取り下げようとは思わない。
そりゃあ断られたら仕方ないけれど、リヴァイに今まで何回も
抱きしめてもらってあの心地よさを知って、いま無性にその
心地よさを味わいたかった。
やがて少し躊躇いがちに腕を回され、ティアナはリヴァイの
腕の中にすっぽりと納まった。
「これでいいか?」
「…ありがとうございます」
やはりリヴァイに抱きしめられるとすごく安心して、
いつの間にか自然と頭を撫でられているのもあり涙腺が緩む。
色々いっぱいいっぱいで、リヴァイの手を煩わせているのは本当に
申し訳ないけれど、少しでも長くこうしていたいとも思ってしまう。
「…誤解されないよう言っとくが、ティアナの気持ちがわからない
わけじゃない。それが間違いだとも言わない。
…が、その後悔に囚われるな」
「…はいっ」
涙声になってしまったかもしれないけれど、返事はしっかり
リヴァイに聞こえただろう。
こうして時間を割いてまでティアナを立ち直らせてくれて
有難くも申し訳ない。もうリヴァイの手を煩わせないように
努力しようと思った。